野球肩と肩周りの「ダイナミクス」の関係
まず、「ダイナミクス」という言葉ですが、もともとは「力学」や「動力学」という意味です。ここでは肩甲骨、肋骨、上腕、鎖骨など、肩関節まわりの動きの連動性がうまくいかない状態を指しています。
現代医学では、野球肩の原因はまだはっきりと解明されていません。しかし、長年プロ野球選手から高校球児、ジュニアリーグの子どもまで診てきた経験から、野球肩が起きる理由は肩まわりの「ダイナミクスの不調」に大きく関係しており、主に3つの原因に分類できることがわかっています。
野球肩の主な原因:股関節のロッキング
野球肩で来院する方の約8割に見られるのが、股関節のロッキングです。
ロッキングがあっても、日常生活では痛みや不便を感じないことが多く、本人も気づかない場合があります。
例えば簡単なテストとして、片脚だけ三角座りをして、反対の足をまっすぐ伸ばすと、ロッキングしている側はきれいに真横に倒れません。
この股関節の制限があると、バッティングやピッチングで体の使い方に無理が生じます。
左股関節にロッキングがある右バッターは、体が突っ込んだり、後ろ体重でないとスイングができず、アッパースイングになりやすい
ピッチャーは下半身からの体重移動がスムーズにできず、上半身だけで投げる形になり、球に体重が乗らずスピードやコントロールが安定しない
こうした無理が肩周りに負荷をかけ、痛みを引き起こします。
フォームの問題も肩に影響
野球指導者の中には、ピッチャーに「肘を引くように」と指導することがあります。肘を引く動作自体は問題ありませんが、投球を続けると「肘を下げるクセ」が出てしまい、結果的にフォームが崩れて肩に負荷がかかりやすくなります。
施術の進め方
まずは、この3つの原因の有無を確認し、見つけた箇所を改善していきます。これだけでも施術全体の約3割は完成です。
しかし、野球肩は簡単には治りません。原因がきっかけとなり、肩や肘、背中などに負荷がドミノ倒しのように広がり、治りにくい環境を作ってしまっています。
当院では、その負荷を一つずつ取り除き、肩周りのダイナミクスを整える施術を行うことで、改善を目指しています。
検査
まず姿勢を見ていきます。
立っている姿勢から座っている姿勢も確認します。
普段の生活での痛みの原因を特定していきます。
骨盤矯正
姿勢の土台となる骨盤を矯正します。
野球肩でお悩みの方のほとんどが骨盤に歪みがあります。
これが取れなければ、いくら筋肉をほぐしても痛みが戻ってきてしまいます。
施術(手技)
手技で筋肉をほぐしていきます。
腰だけでなく殿部(お尻)の筋肉などの筋肉もほぐしていきます。
関係ないようなところでも姿勢に関わってくるので
しっかりアプローチしていきます。
ストレッチ
ストレッチで筋肉を伸ばし関節の可動域を広げます。
トレーニング
骨盤の歪み、姿勢の崩れは筋力の低下に伴うことが多いです。
矯正、施術で整えた姿勢をキープするためにもトレーニングは重要になります。